転職先も決まって、後は退職の手続きを進めるだけなんだけど、上司がしつこく説得してきて辞めさせてくれないんだ。
それは『引き止め』を受けているな。
しつこい引き止めに会う人は多く、しっかり対処しないと転職に遅れが生じてしまう。
今回はしつこい引き止めのパターンや対処法を紹介しよう。
転職活動が順調に進んでも、退職交渉や退職手続きの際に引き止めに合ってしまう可能性があります。
しつこい引き止めは少なくありませんが、中には泣き脅しや脅迫、パワハラなど退職希望者を追い詰める悪質なケースもあります。
このページでは、転職時のしつこい引き止めについて、基本的な解説から対処法を紹介しています。引き止めに合った際に正しい対応ができるよう参考になさってください。
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転職(退職)時の引き止めとは?
転職(退職)時の引き止めとは、退職を申し出た社員に対し、上司から労働環境の改善、給料アップを提案することで退職を取りやめるように働きかける行為です。
- 評価されるスキルを有している
- 会社での勤務が長い、経験が豊富
- 労働集約型の会社で働いている
など、会社にとって利益となる人が引き止めに遭いやすいです。
引き止めの多くは、労働者に対してより良い条件を提示するものですが、中にはしつこい引き止めを行ったり脅迫に近い方法で脅してくるケースもあり、問題になっています。
転職を経験している社会人50人を対象に『転職時に会社や上司からの引き止めを経験しましたか?』という旨のアンケート調査を行った結果、7割以上の人が引き止めされた経験があることが分かりました。
企業がしつこい引き止めを行う理由
どうして企業はしつこく引き止めをするんだろう。
退職したい人を留めるメリットがあるのかな?
企業には人材を失いたくない理由があるんだ。
ここからは、企業がしつこい引き止めを行う3つの理由を紹介します。
- 人員の不足、補填が会社の不利益になるため
- 離職率の上昇を防ぐため
- 上司の管理責任が問われるため
人員の不足、補填が会社の不利益になるため
企業や上司がしつこい引き止めを行う1つ目の理由が、人員不足や補填のための時間、費用の捻出を避けるためです。
退職者が出ると働き手が減って会社の生産性がダウンします。
この労働力の損失を補うためには、他の社員が穴埋めをしたり新しい社員を採用することで人員を補填する必要が生まれます。
新規採用を行うとしても、ひとりの社員を会社で働ける人材にするまでには、数十万円から数百万円の費用と数か月に渡る時間を要します。
こういった不利益を避けるためにも、企業はしつこい引き止めを行うのです。
離職率の上昇を防ぐため
会社の離職率は採用活動に大きく影響するため、この値を抑えるために引き止めを行うことがあります。
転職に際して離職率を気にしない人もいますが、企業目線では離職率が上がるにつれて応募数は格段に減っていきます。
特に、人間関係や業務内容を理由に転職した人は失敗を避けるために離職率に重点を置いて仕事探しを行います。
離職する社員が増えて離職率の平均(15%程度)を超えてくると人員の補填が難しくなるため、会社や上司はしつこい引き止めを行うのです。
上司の管理責任が問われるため
上司がしつこい引き止めを行う理由が、上司の管理責任が問われるためです。
企業によっては、退職者が出たことを直属の上司の責任として管理責任能力を評価することがあります。
減点評価を受けるとキャリアプランや直近の賞与に影響する可能性があり、これを避けたい上司がしつこく引き止めを行うのです。
しつこい引き止めへの対策4選
引き止めに対してはどう対応すれば良いの?
引き止めへの対処法はいくつかあるが、大切なのは退職の意志を貫くことだ。
以下の方法を実践してみよう。
ここからは、しつこい引き止めを防ぐための対策を4つ紹介します。
トラブルを回避するために有効は手段は以下の通りです。
- 入社日から逆算した退職日を伝える
- 退職届は必ず書面で出す
- キャリアアップを理由に転職する
- 転職代行に依頼する
入社日から逆算した退職日を伝える
しつこい引き止めを防ぐためには、予め定まった退職日を伝えるのが有効です。
転職先企業と日程調整を行い、入社日を決めたうえで退職交渉を始めれば期限以降も現職に留まることはできません。
法律上、退職の意志は退職日2週間前までに申し出れば良いことになっていますが、就業規則で1~2か月前設定されていることが多いので、その日数を逆算して退職日を伝えましょう。
例えば、転職先への入社日が4月1日に決まった場合、会社への退職交渉を2月中に行えば規則やマナー違反にはなりません。
退職届は必ず書面で出す
引き止めでトラブルを防ぐためには、退職届を書面で提出することが大切です。
「退職届は書面で出すもの」と考えている方もいると思いますが、退職の意思表示は必ずしも書面による必要はありません。口頭でなされたものも法律上有効となるのです。
退職交渉では口頭で退職の意志を伝えることもできますが「伝えた」「聞いていない」などのトラブルに発展する可能性があります。
しつこい引き止めを防ぎたい方は、必ず提出日、退職予定日を記載した退職届を提出しましょう。
キャリアアップを理由に転職する
引き止めを避けるためには、転職理由をキャリアアップなど個人的な理由で伝えます。
人間関係や労働環境、家庭の都合を理由に退職を願い出ると、会社によっては改善を提案されたり受理されないことがあります。
他にも「他の会社でも同じようなものだ」「うちはこれでも良い方だ」と真面目に取り合って貰えないケースもあります。
退職交渉を始める際には『転職が必要な理由』『他の会社でやりたい事』を明確に伝え、あくまでキャリアアップを目的とした転職であると説明しましょう。
転職代行に依頼する
引き止めが悪質な場合や不正に拒否される場合には、退職代行を利用して退職の申し出や手続きを依頼しましょう。
数万円程度の費用負担が必要となりますが、
- 自分で交渉するより成功率が高い
- 面倒な手続きを代行してもらえる
- 嫌いな上司と顔を合わせる必要がない
といったメリットがあります。
退職代行を利用する際には、トラブルを避けるためにも信頼できる会社に依頼しましょう。
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引き止めのパターンと対処法
ところで、企業や上司はどんな方法で引き止めをするの?
引き止めには、簡単な説得から悪質な方法まで色々あるぞ。
それぞれのパターンと対策について解説しよう。
ここからは、引き止めでよくみられる4つのパターンについて対処法を紹介します。
- 会社にとって必要であることを訴えかける
- 労働環境の改善を提案する
- 退職によって迷惑が掛かると脅す
- 給料のアップを提示
会社にとって必要であることを訴えかける
退職希望者に対して「この会社に必要な人材だ」「後任が見つかるまでは辞めないで欲しい」と情に訴えかけるのは、引き止めで頻繁に使用される方法です。
退職の意志の強い人であれば「何を言われても辞める」と自分の考えを貫けますが、人からの頼みごとを断れない人は「もう少しだけ働こう」という考えに陥ってしまいます。
無理をして会社に留まったところで、転職のチャンスを放棄した大損失を会社側が補ってくれることはありません。
労働環境の改善を提案する
退職理由が労働環境と判断された場合には、「仕事の振り分けを見直そう」「希望するなら別の部署に移そう」と労働環境の改善を提案されるケースがあります。
中には「労働環境が変わり、以前よりも働きやすくなった」と良い体験をする人もいますが、大抵の場合では問題が根本から解決することはなく、働きづらい状態が改善されることはありません。
「環境改善を行ったのだから退職するな」と言われたり、圧力をかけられることもある悪質な方法です。
退職によって迷惑が掛かると脅す
退職希望者に対して「君が辞めたら会社に大きな損失ができる」「顧客にも迷惑が掛かるから損害賠償を請求する」と脅すケースがあります。
会社や顧客への迷惑、損害賠償の請求と聞くと、怖いイメージを持つかもしれません。実際にこのような脅しに恐怖を感じて悩んでしまう人は多くいます。
しかし、しっかりと引継ぎ作業を行えば、問題はありません。
会社や顧客、取引先へ迷惑をかけることにはなりますが、それは退職において当然のことで、転職を取り止める理由にはなりません。
給料のアップを提示
引き止めの方法のうち、多くの方が魅力に感じるのが給料アップ(賃金の改善)です。
「時給を○○円上げるから残ってくれないか」「給料を○%アップする」と言われると、転職しない方が得な気がしてしまうものです。
しかし、実際には「給料を上げたのだからもっと多くの仕事をしろ」「これ以上何が不満なんだ」と、以前よりも退職しづらい状況にされるケースがほとんどです。
転職のしつこい引き止めについてまとめ
このページでは、転職時の引き止めで悩んでいる方のために、引き止めをする理由やケース別の対処法を紹介しました。
会社や上司がしつこい引き止めを行うのには様々な理由があります。また、引き止めの方法も多岐に渡り、その多くは労働者にとって都合の良いものです。
しかし、引き止めを受けて退職を先送りにした方、転職を辞めた方の多くは根本的な問題が改善されなかったとコメントしています。
「問題改善を行ったのだから退職するな」と圧をかけられないよう、強い意志と計画性を持って退職交渉に及びましょう。
退職日に送る挨拶メールについてはこちら
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